秋の京都といえば、紅葉に尽きるだろう。全国各地や、欧米・アジア地域から大勢の観光客が、1年に1回の期間限定の、あちこちに描かれた自然の「絵画」を見にやってくる。それは、「錦秋」という言葉がぴったり当てはまる。
そんな季節を迎えた京の街で、紅葉狩りの喧噪(けんそう)を離れ、江戸時代から続く伝統芸術の一つである、根付(ねつけ)を愛でるため、2007年9月にオープンした公益財団法人「京都清宗根付館」(京都市中京区)を訪ねた。清宗根付館には、京都府向日市に本社がある佐川印刷の木下宗昭・代表取締役会CEOが若い頃から収集した、5000点を超えるコレクションから、約400点を常時展示している。ここには、根付の歴史について研究し、大阪芸術大で博士号を取得している、高円宮妃久子さまも時々、訪れているという。清宗根付館は、幕末に京都の治安維持のため活躍した新選組ゆかりの寺、壬生寺(みぶでら)の東側にあり、JR京都駅からタクシーで約15分のところに位置する。江戸時代後期に建てられた京都市指定有形文化財の武家屋敷「旧神先(かんざき)家住宅」を修復し、根付の美術館として開館。武家屋敷は、京都市に現存する唯一のものといい、これだけでも一見の価値があるだろう。